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911DAYS メイキング NINE ELEVEN DAYS Vol.3<全ポルシェ911魅力再発掘/アドバンテージ消失の時代>

 

更新日: 2007年02月01日

「ポルシェ930ターボのライバル、カウンタック」 お時間のある方に贈る長めのカウンタック体験記 文/関 友則(本誌)

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 ワタクシのような元スーパーカー小僧にとって、930ターボ、カウンタック、
ベルリネッタ・ボクサーなどのスーパーカーには、特別の思い入れがてんこもりであるわけです。

 で、今回、計らずも(実は計ったんだけど)取材でカウンタックと会えることになりました。
 ラッキー。
                      ●
 間近で見たカウンタックは、とにかくスゴかった。
もうカタチからなにから異様な迫力を放っている。

 取材をお願いしてあったカウンタックはものすごく調子いいみたいで、お店の方は、ぜひ音を聞いて欲しいと言いながら、ショールームの中でV12に火を入れた。

 ガブァンッ!!

 文字にするとこんな感じでちょっと情けないが、本当はもっと迫力満点で、とにかく大爆音だ。

 キャブ12気筒は調整が異常にシビア。エンジンが冷えた状態ではアイドリングするのも嫌がるぐらい気難しいらしい。
 ところが、そのカウンタックはショップ自慢のものだけあって、ハナからピタリ800回転でアイドリングしている。ドドドド。

 お店の人がブリッピングを繰り返す。

 ワン! ワン! ワン!

 文字で書くと犬みたいだが、本当は迫力満点の大爆音だ。金属的でレーシーな音がする。
正直、レスポンスもいいし音もいいじゃんと思った。

 お店の人はアイドリングさせたまま降りてドアを丁寧に下げると、 エンジンルームの方へワタクシを誘った。

 12気筒エンジンは低く唸りながら、小刻みに震えている。
 コンパクトなフラット6を見慣れている目には、 V12エンジンはバカでかくて怪物に見えた。

 終始、「おお」とか「ううむ」とか「スゲ」とか感心していたのが幸いしたのか、よほどもの欲しそうな顔をしていたのか、太っ腹なショップさんが「座ってもいいよ」と言いながらガルウイングを跳ね上げてくれた。
グイン。

 ラッキー! すわ運転席へ。

 と思ったが、しかし、これがどうやって乗り込んだらいいのかさっぱり分からない。
カウンタックの入り口は、低くて狭くて平べったい菱形だ。足を入れようとすると、サイドシルが幅広すぎて身体のバランスを保てない。万が一、バランスを崩してドアにしがみつき、羽根のような美しいドアをもぎ取ってしまうようなことがあったら、ゴメンじゃ許されない。

 思わず仁王立ち。ううむ、こいつは……。

「右足からこうやってそうやって……」と、見かねたお店の方の親切なアドバイスに基づき、身体をギシギシ言わせてなんとかカウンタックの中に収まることができた。お世話かけます。ふう。

 そうやってたどり着いた、カウンタックのドライバーズシート。

 そこはとっても異空間だった。

 小さな面積の天井は頭に触れんばかりに低い。
 ペタンと寝たフロントウインドウは、はるか遠くの方からワタクシのオデコに向かって一直線に伸びている。Aピラーの傾斜角度は鋭角も鋭角、ワタクシの左こめかみ辺りに照準を絞って、付け根からペキッと一気に倒れこんでいる。

 サイドガラスは、サイドというにはあまりにも天井に近い位置にムーンルーフのように
下を向いて、左側頭部にピタリ沿いながら後方へと流れる。

 ちなみに、「潜望鏡」といわれるリアガラスを振り返って覗いて見たが、やはり「潜望鏡」だった。誰が言ったか知らないが、実に上手いことを言う。後ろの正面以外はビタ一文見ることができない。

 意外というか、もっとも感心したのは助手席までの距離が近かったこと。
カウンタックは、想像よりもはるかにコンパクトなスーパーカーだったのだ。

 それにしても、あまりの異空間具合に落ち着かない。こんな気持ちになったのは初めてだ。
走らせてもいいよ、と言われても街に繰り出す自信はまったくない。

「アクセル踏んでもいいよ」

 ドキッとした。
 思わず「いや、いいです、そんな」と辞退したのは、カウンタックに圧倒されていたからかもしれない。それに、いくら絶好調だとはいえ、万が一ワタクシのブリッピング一発で何かあったらゴメンじゃ許されないと思ったのも事実だ。

 しかし、何回も大丈夫だからって勧めてくれる。

 アクセルを踏んでみる気になったのは、これ以上辞退するのもなんだしなという気持ちがちょっぴりと、こんな機会二度とないぜェという大いなる悪魔の囁きからである。行くぞ!

 とはいっても、恐る恐るだ。えいっ。

 ギャワンッ!

 文字にするとまたしても情けないが、ともかく大爆音なんだかとっても金属的ないい音だ。フェラーリとは違う、野性的な音がする。
 ああ、ついにオレもカウンタックのV12に鞭を入れることができたんだァ、と叫びたくなった。
といっても、2000回転までだけど。

 ともかく、これでワタクシのスーパーカー体験集の中に、新たな1ページが加わった。
「カウンタックのアクセル一発2000回転」
 この1ページ前には「F40を1メートルバック」というのもあるが、ここではまったく関係ない。

 お店の人は、もっと踏んでいいよと言うが、カウンタックの凄さの片鱗を十分に味わえたのと、万が一が次に来るといけないという小心な思いから今度は丁寧に辞退した。
 しかし、カウンタックは本当に調子がいいようで、レヴカウンターはやはり800回転をピタリ指していた。

 降りるときも、乗り込むときと同様にやっとの思いだ。それは降りるというより、這い出るという方が近い。

 安心して、ハタと目に入ったのは跳ね上がったドア。
「ドア閉めてもいいですか?」
 ワタクシは、調子に乗ってそう尋ねたが、お店の方はよく割る人がいるからやめた方がいい、
と言う。たしかに、お店の方のドアを下ろす手つきは慎重そのものだ。

 編集部に戻って、めみたにこの話をしたら、「関さん、ドア閉めなくてよかったですね。窓ガラス割ったら100万らしいですよ」と嬉々としていた。マジ?
 本当に100万するかどうかは知らないが、それにしても「万が一」がそんなところに潜んでいたとは……。さすがスーパーカー。さすがカウンタック。
 冷や汗がどっと出てきた。

(長くて、しかもポルシェがまったく出て来ずスミマセン)

※写真のカウンタックと本文に登場するカウンタックは別のものです。

 

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