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羽根幸浩のS耐日記第4回 FIA GT Championshipについて説明しましょう

2001年06月14日

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羽根選手の苦闘とともに、FIA GT選手権の第3戦までをお伝えしてきたところで、ここで一休み。今回は、読者のみなさんにとってあまり馴染みがないと思われる「FIA GT Championship」を、羽根選手が紹介する。

 

 僕は、1999年シーズンからFIA GTにフル参戦することになったわけですが、「FIA GT選手権」については、そんなに日本では知られていないかもしれません。

 ということで、ここで、「FIA GT Championship」について簡単に説明しようと思います。

 まずレースはシリーズ全10戦で、10ヶ国を転戦して行われます。クラスは、「GTクラス」(1999年、2000年シーズン、僕は993GT2で参戦した)と「NGTクラス」(2001年シーズン、GT3RSで参戦している)に分けられ、レース走行距離は基本的に500Km。2001年シーズンの第一戦には、37台がエントリーしました。

 今シーズンの「GTクラス」は、ポルシェ993GT2、バイパーGTS-R、リスターストーム、マルコス、フェラーリ550マラネロなどが参戦しています。「NGTクラス」は、今のところポルシェGT3Rのワンメイクのような様相ですが、フェラーリ、BMWなどの参戦の噂も出ています。全日本GT選手権とは、車両レギュレーションがかなり違うので、直接的な比較は難しいが、構成はよく似たようなもの。全日本GT選手権を思い描いてもらえば、それほど遠くないイメージになると思います。

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2000年シーズンのFIA GT選手権のフライジンガーのピット

 僕はドイツのフライジンガー・モータースポーツからこのFIA GTに参戦しており、1999年シーズンはチームポイントでシリーズ3位になっています。2000年シーズンは、雨のレースで念願の初優勝を果たしました(残念ながら僕のマシンではありませんでしたが)。実はこの優勝が、ポルシェに国際レースでの優勝を5年ぶりにもたらす、記念すべき勝利だったのです。

 過去の僕の成績はというと、1999年の1000kmレースで優勝と2位が1回ずつ。2000年は、1000kmのタナボタ2位が1回あっただけ。シリーズ戦の500km/3時間レースでは、4位、5位、6位がそれぞれ何回かありましたが、結局、表彰台には上がることができませんでした。しかし、これでも予選も含めて、常にポルシェ勢の中でのトップ争いをしてきたわけで、世界トップレベルのポルシェ・レースを戦い、自分なりに成長をしたと感じています。

 振り返れば、この2年間にヨーロッパ、アメリカの23のサーキットでレースをしてきました。そのほとんどが初めて走るサーキットで、もちろんすべてポルシェで戦っています。

 日本のレースとは違いコースが毎回異なるため、すべてのサーキットで日本ほど細かいセットアップができるわけではないし、そんな時間もありません。しかし、そこにはそれなりのやり方があって、なんとなくマシンも出来上がっていくから、不思議なモンです。

 こういった環境の中でレースをして、日本にいたときには感じることのできなかった「ポルシェってよくできてるな」とか、「サービス体制を含めたポルシェの環境はすばらしいな」とか、様々なポルシェの長所に初めて気付くことができたと思います。ところで、みなさん世界で一番沢山走っているレーシングカーがなんだか知ってます? そう、ポルシェなんですよ!

 ちなみに向こうのレース関係者は、どこで作ったマシンだとか、どこで買った車だとか、どこの部品だとか、そんなこと気にするヒトは、ポルシェのレーシング部門のスタッフを含めて誰もいません。これが絶対正しいとか、正解なんてのはレースに限ってはないわけですから。速く走れれば、マシンがどんなものでも認めてくれる。向こうは、そんな非常に単純な仕組み! まあ、これは余談だけれども……。

 ともかく、20台も同じマシン(996GT3R)が集まれば、かなりコンペティティブなレースになることは想像がつくでしょう。そんなヤツラの中で、ポルシェ最速であることを、もっとも重要視し誇りに思う彼らは、あくまでもポルシェでレースを行うことしか考えていない。こういったチームは、ヨーロッパには意外とたくさん存在するのですが、プライベーターが年間各国を転戦することを考えると、それはまったく正しい選択だと思います。

 僕にとって一番ありがたいことは、必要としてくれるところがそこにあったということ。優勝を狙えるチームで年間戦うことができるのは、レーシングドライバーとしてのモチベーションを保つ上では重要なことです。実際、僕はこのFIA GTだけで食べていけるわけではないので、正直、僕にとっても、骨身を削って戦って行くに値する「何か」が必要となります。FIA GTとフライジンガーモータースポーツには、それがあるのです。

※メインカットは、2000年鈴鹿1000kmレースを戦う羽根選手の勇姿


 

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