ポルシェ用語辞典フェルディナント・ピエヒ

1937年4月17日、フェルディナント・ピエヒは、オーストリア人の弁護士アントン・ピエヒと、ルイーゼ・ポルシェ（フェルディナント・ポルシェ博士の娘）との間に生まれた。つまり、ピエヒはポルシェ博士の孫である。余談だが、父親のアントンは、第二次大戦後にポルシェ博士とともにパリで獄中生活を送った人物だ。
ポルシェ・ファミリーの一員として育ったピエヒは、26歳になるとポルシェの製作に携わるようになる。ピエヒに最初に与えられた仕事は、当時開発が始められたばかりのフラット6エンジンのテストであった。こうして完成したフラット6エンジンが、ポルシェにもたらした功績は説明するまでもないだろう。
その後ピエヒは、ポルシェのレース活動を担当するようになり、ここでも非凡な才能を発揮した。中でも、ピエヒが開発の陣頭指揮にあたった「917」が、1970年のル・マンでポルシェに初の総合優勝をもたらした話はあまりにも有名である。
ピエヒはこの他にも、世界スポーツカー選手権、ヨーロッパ・ヒルクライム選手権、トランザム・シリーズ（米）などで無数のタイトルをポルシェにもたらし、スポーツカーメーカーとしての地位を築いた。
その後、ピエヒは 9年間在籍したポルシェからフォルクスワーゲン・グループに移籍し、現在（2001年）はフォルクスワーゲン・アウディグループの会長を勤めている。