ポルセキ新聞タルガ万歳その252.普段は見えんゾ

更新日: 2012年12月04日

【関】930に乗っていると、なんでこうなってんの？　というギモンな装備がいくつかあります。例えばドアロック。ドア内張りの上部にポチッと突起があります。この突起を押してもドアロックはできますけど、その下に付いている丸いダイヤルを回してもロックはできる。一方ロックの解除の場合、突起はドア内張りの中に完全に埋没してしまうため、それを引き出すことは不可能。しかし、ダイヤルは回せるので、それを回してロック解除します。ロックはできても解除のできない突起。なんのためにあんの?　と、そういう疑問が湧いてくるわけです。

普段の油温計。白い線が3つとレッドゾーン表示のみ

　それと同じようなもののひとつが、930カレラ3.2用油温計の温度表示。

　普段は白い線がみっつあり、その上方にレッドゾーンの表示があるだけです。ま、これだけで実用上十分。でも、どうにも分かんないのが、ドライバーから絶対見っからない奥の奥に、小さくひっそりと息をひそめるようにして温度が書いてあるところ。わざわざ温度を書き入れてあるなら、なんでそれをドライバーに知らせようとしないんだろ。

　この答えはきっとこうでしょう。

メーターを分解すると現れる、奥の奥、誰にも見っからない場所に、小さく書かれた温度表示。60°、90°、120°、150°の文字が読める

　メーカーを作ったVDOとしては、やはりドライバーに油温をしっかり伝えたい。メーカーの良心ですな。一方のポルシェは、それは分かるけどさ、見た目も大事だよという立場。曰く、いろいろ数字が書き込んであると今風じゃないじゃん、と。

　ポルシェはVDOにこう言ったはずです。たしかに、油温を細かく教えることは大事だけど、一番大切なのはオーバーヒートの領域に入るまでにドライバーにしっかり対処してね、と知らせることなんだからさ、と。それが正確に伝わればバッチグーなんだよ、分かる？　と。

　そう言われても、イマイチ納得できないVDO。ううう、と真っ赤な顔して葛藤しているウチに、油温の数字はなしってことでね、と肩をポンなんてやられちゃったりして。ガックリうなだれるVDO。そして、こう思ったでしょう。ポルシェのヤツらが言うことは分からんでもないが、オレらにも良心ってもんがあるゼ。こうなりゃ、納得したフリして見えないところに油温書いちゃお、と。これはオレら下請けのレジスタンスだ！　うおおおおおおおお!!

　これは、そういうくだりがひと通りあっての、誰にも見えないところにある小さな油温表示なんだと思います。きっと。

　そんないわく付き（ホントかいな）の油温表示ですが、一番下の線が60°、その上に行くにしたがって90°、120°、そしてレッドゾーンが150°からとなっております。これを見て、150°手前までダイジョーブということにも驚かされます。水冷じゃ絶対あり得ない温度だもんね、これ。