911DAYS メイキング NINE ELEVEN DAYS Vol.6閉山前の滑り込みセーフなグラビア撮影

更新日: 2007年01月31日

本誌のグラビアロケは過酷なことこの上なく、肉体の限界に挑んでいるのではないかと編集部内で囁かれている今日この頃です。振り返れば、撮影タイミングを計ってマムシの出る山中で地面に寝転がって野宿したり、真冬の砂丘で寒風に吹きさらされて凍りついたり、コッフェル持って行って観測小屋で白い息吐きながら闇ナベして時を待ったり……。まるで探検隊。Vol.6もその慣例に従い、またまた渋かった。今回の気持ちは、アルピニストといったらよろしいか。

　Vol.6のグラビアロケは、表紙の撮影も兼ねて10月30日から31日にかけて行われました。場所は乗鞍岳の山頂付近。神の住む領域です。よく知らないけど。

　それにしても、このページタイトル「閉山前の滑り込みセーフ～」とはどういう意味か。

　山に詳しい方はご存知だと思いますが、乗鞍岳は11月1日から閉山してしまうんですね。なにせムチャ標高が高いもんで、11月に入ると雪が降りやすい。雪が降るとどうなるか。犬が大喜びで庭駆け回るようなほのぼのさんな雪がコンコン舞い降りるわけはなく、あっという間に八甲田山ばりの極寒の地と相成ります。うかうかしてると命が危ない。例年だと、10月の末に雪が降って、そのままなし崩し的に閉山してしまうのだそうな。

　編集部はグラビアと表紙の撮影を乗鞍岳で行うことを決めたその日から、閉山日程をチェック。抜かりなく、当初の予定を10月16日にセットしました。10月半ばなら雪の心配はいらないでしょう。しかし、10月16日は天候悪し。その情報を得て、日程を泣く泣く10月22日に移動させました。が、なんと22日も天候が悪かった。山の天気は崩れやすくてキライです。
　

　11月1日までの日にちで、カメラマンの犬塚さんのスケジュールと天気予報と、撮影車をお貸しくださるオーナーさん、ショップの日程を突き合わせた結果、はじき出されたのは、チーン！　10月30日から31日にかけて。ほんとギリギリ。

　で、行きました乗鞍岳へ。がけっぷちのロケ敢行。中央自動車道のPAに10月30日の午後11時30分に集合し、996GT2を載せた積車と930スピードスターを連ねて、なんだ坂こんだ坂。乗り鞍の峠道に差し掛かったのが10月31日の午前4時頃。外気温はマイナス3度を指しています。風がかなり吹いているから、体感温度はいかほどか。とにかくサブい。

　現地に到着し、ふと道路わきを懐中電灯で照らすと、なんじゃこれ！　高さ15センチ、直径1センチくらいの霜柱が無数にできて、そこかしこで地面をよっこらしょうと押し上げている。本当なら感動しなくちゃいけないのかもしれないんだけど、はっきり言って薄気味悪い。カラスのようにデカイ紋白蝶が、あちこちでバサバサ飛んでるのを見た感じ。こりゃ、大変なところに来てしまった。つくづくそう思いました。

　夜が明ける前に撮影スタンバイし、夜明けと同時に本番開始。撮影中、あまりの寒さに頭がキンキンと痛みます。

　ともかく、そうやって撮れたのがVol.6のグラビア写真です。どうですか？

　そうそう、わざわざ乗鞍岳まで撮影に行った理由を書くのを忘れていました。その理由とは。

　先日、皇太子、雅子さまに女の子がお生まれになられたという、とっても大きな明るいニュースがあったものの、それ以外は嫌になるくらい暗い話ばかり。なんとか希望を感じさせるような写真が撮れないものか、と考えた末に決めたのが乗鞍岳行だったのです。出来上がった写真が、希望溢れるものになったかどうかはみなさんの判断にお任せするとして、ともかくできました！

　しかしその喜びも束の間、冷え切った頭にホカロンを押し当て、この後やにわに表紙撮影へとなだれ込んだのでした。嗚呼無情。

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