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羽根幸浩のS耐日記通算20回 嗚呼、思わぬ45秒のタイムロス

2002年07月10日

JGTCの第4戦は、日本からマレーシアはセパンに舞台を移して行われた。
ここでの羽根選手は、マシンの不調などに見まわれ、決勝まで12周しか走れない逆風の中での戦いとあいなりました。しかも、決勝ドライバーチェンジ時点でのまさかの45秒のタイムロス……。逆風は、台風なみの暴風となって襲い掛かってきます。
なんとか結果を出したい羽根選手なのですが……。

 今年のマレーシア「セパン」でのレースは、JGTCの第4戦としてシリーズに組み込まれて行なわれました。

 ここの特徴は、とにかく暑いこと! 気温は、40度ぐらい……。路面はまさに「熱っちっチ!」。日陰が涼しいと感じるほど、直射日光は強く、マシン、人間ともに暑さ対策が重要となります。

 コースレイアウトは、フラットなコーナーが多く、ハイスピードコーナーもあり変化に富んでいます。舗装は、いくぶん日本のサーキットよりキメが細かいのですが、まあ、路面は良い部類に入ると思います。

 僕の経験から言うと、こういったF1サーキットは、金曜フリー走行の走り出しから決勝まで、どんどん路面状況が変化して行き、アベレージラップでタイムが3秒前後縮まるものなのです。これが俗に言われる「ラバーグリップ」というものです。

 このセパンのようなサーキットでこそ、初めて「ラバーグリップ」を体感することができるんじゃないかと思います。鈴鹿のようにいつもクルマが走っていて、レースも多く、路面も粗いハイグリップなコースでは、「ラバーグリップ」と言われるほどの違いは感じにくいわけです。

 FIA のGTレースに参戦していたとき、セットアップのやりとりの中に「F1サーキットだから……」という言葉がよく出てきました。初日の走り出しに大きくマシンセッティングを変えようとしたときに、「ここはF1サーキットだから、コースコンディションの変化を考えないとな」、なんて意味です。多少のオーバーステアぐらいなら、グリップが上がって来ると消えるので、今慌てて治す必要はない、と。その逆の場合もあるわけですが、とにかく、グリップが上がって行く路面を考えながら、クルマのセットアップを煮詰めて行くことがポイントになってきます。

 ところで、どうしてF1サーキットには「ラバーグリップ」現象が起きるのか?

 まず、F1が行なわれるサーキットは、安全基準が厳しくサンドトラップが多いことがあげられます。そして、海外のサーキットの場合、普段ハイグリップなタイヤを履いたクルマがあまり走っておらず、必然的にコースに薄っすらと砂が浮いたような状態になってしまう。こういう場合が、けっこうあるのです。

 そこを、レースウィークにいきなりハイグリップなタイヤを履いたクルマが一斉に走り出すので、ライン上は次第にホコリがなくなり、タイヤのゴムが張り付き、グリップが上がって行くわけです。路面の舗装のキメが細かいコースほど、その違いは顕著に現れます。

 で、ここセパンはもちろんF1サーキット。名前も「セパンF1サーキット」です。設備も凄いし! 建物は、間違いなく世界一のサーキットでしょう。

 話は逸れますが、マレーシアの建築物はとにかく凄いです。とにかくデカイ! こんなに大きな必要あんの、ってぐらいに。ホテルも凄いなァ、サービスを除けば、五つ星!

 というところで、金曜の1回目のプラクティス。

 これは、まずまずの滑り出しでした。以前から僕の乗る28号車は、オーバーステアの傾向がかなり強く、積極的に攻めて行くには限界がありました。いつも、仕方なく予選タイムは無視して、決勝を安定して走れる方向でセットアップし、どうにかレースをまとめようと努めてきました。

 しかし、残念だった菅生の決勝から(編集部注:通算18回参照)少しだけ感触のいいセットを見つけることが出来、ここでは他のマシンが苦戦しているのにも助けられて、全体の状況からはそんなに悪くない印象でした。ところが、そんな日の出が見え始めたと思ったら……。雲行きが怪しい第2セッション。

 ミッションの調子が悪く、走っても無駄な状態に。結局、十分に走ることなく、金曜を終える結果となってしまいました。

 菅生で起きたミッショントラブルを、海を越えて持って来ちゃったのは、少々残念でした。これで、1セッション分、他のマシンから遅れを取ることになってしまいました。

 土曜の予選1回目は、計測2周でピットイン。アクセルが全閉でスティックして……、残念ながらまともにタイムアタックできずクルマから降ります。何もなければ、タイムはもう少し伸びそうだったので、これはとってもクヤシー! 結果でした。

 二回目の予選は、最初の20分は混走で相棒からスタート。約20分経過後、交代してタイムアタックをする予定でした。ところが、交代してクルマに乗り込みコースインすると、アクセルは午前中よりひどい状態! とても、集中して走れる状態ではありません。いろいろ、対策を試みるも時間だけが経過して……。結局、クルマを降りることになってしまいました。まともに1周も走らずに……。

 ただ決勝は、朝の走行から良い感じが得られました。ガソリンが多いと意外にいい。セッティングを迷った挙句に変えたのも、当たりーって感じ。

 決勝の前まで、まともに走ったのは12周ぽっちですが、決勝に向けては、トラブルの原因も分かったし、上り調子ということで、吹っ切れた感じでした。

 スタートは、順位が順位なんで(編集部注:予選16番手)無理せず、ポジションキープ。前回同様、レースが進んで少しバラけてから抜いていこうと様子を見ることにしました。しかし、意外に今回はバラけず痺れを切らして抜こうと試みますが、前が26号車のチームメイトということもあって無理に絡むことも出来ずって感じでした。

 前半のガソリンが多いときは、こちらの方がペースは速かったと思いますが、簡単に抜けるところまでは差がありませんでした。中盤を過ぎると、水温が110度……、ゲッ! やむなく回転を 500回転落とし、106度をキープ。ただこの状態でペースアップは、なかなか難しい。

 といっても、僕の前を走る4台からは、さほど離されることなく、今回は我慢かなー? なんて考えながら走っていました。とにかく、最後まで走らないと意味ないですから。

 よく言われる人間の方の暑さは、ゼンゼン問題なし! 快適! 快適! クールスーツさまさま! ドリンクボトルさまさま! 昨年のチームでは、両方なかったんでバテ気味でしたが……。

 そんなことより、予定では、僕のピットイン時に前を走る何台かのクルマとは入れ替われる計算だったんですが……。

 チームの指示に従いピットインすると、自動ドアじゃないけどホントなら開くはずのドアが開かない(編集部注:ピットイン時は、ドライバー交代の時間を節約するため、次のドライバーがドアを開けてやる)。仕方ないんで、自分で開けて降りると……、交代のドライバーがいない! ウソ? こんなことってある?

 ともかく、ピットクルーに探し出された相棒は慌てて準備して乗り込むも、45秒のロスタイム。こうなると、もうレースじゃないもんね。いくら速く走ったとしても、今のレースで45秒取り戻すのは不可能でしょ!
 ……。

 ま、次の富士はいろいろと激変! するでしょう。

 今度こそいきまっせ!

 

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